第9回Amazon Academyを開催
多様性を生かした経営が生み出す新たな価値を議論
Amazon(所在地:東京都目黒区)は本日9月8日(金)、「多様性が加速させる中小企業のイノベーション」をテーマに、第9回Amazon Academyを開催しました。今回のAmazon Academyでは、経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室長の相馬 知子氏や一橋大学大学院 経営管理研究科 客員教授 名和 高司氏のほか、障害、性別、国籍の違いなど、多様性を尊重しながらビジネスを成長させ、イノベーションを生み出している3社の中小企業の代表を登壇者に迎えました。イノベーションを創出するために必要な「パーパス経営」の重要性をはじめ、多様性を尊重する経営やビジネス環境がいかに日本の発展に寄与するかを議論しました。
アマゾンジャパン 社長 ジャスパー・チャン氏は以下のようにコメントしています。
「テクノロジー、人材、そしてパーパスが重なりあうところに、ビジネスの次なる成長があります。中小企業は日本経済を支え、そして発展を牽引する重要な役割を果たしています。また、DEI(多様性、公平性、包括性)は、Amazonが20年以上にわたりイノベーションを生み出してきた大切な源です。今回のAmazon Academyが、中小企業の皆様にとって、変革を起こすための議論や行動の変化を後押しするヒントになることを願うとともに、パーパスを持ちながらDEIを尊重したイノベーション文化を育むきっかけとなれば幸いです」
経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室長 相馬 知子氏は以下のようにコメントしています。
「今回、講演の機会をいただき、グローバル市場における日本企業の競争力強化・価値向上の観点から見た多様性の重要性をお伝えできたことを嬉しく思います。今回、登壇された企業の方々による多様性への取り組み、そしてそれによるビジネスの成長に感銘を受けました。Amazon Academyのような場は、中小企業の経験や学びを多くの他の中小企業と共有する場として非常に重要な役割を果たすと考えます。より多くの企業のイノベーションを加速させる一助になることを期待しています」
一橋大学大学院 経営管理研究科 客員教授 名和 高司氏は以下のようにコメントしています。
「今回のAmazon Academyが、中小企業における多様性とイノベーションをテーマに取り上げたことを心強く思います。パーパスは中小企業の皆さんにとって経営、事業、組織などあらゆる面で目指すべき方向性を指し示す存在であり、その実現には多様性や包括性は欠かせません。今回のAmazon Academyでの講演や議論が、中小企業の皆さんにとって参考になることを確信しています。パーパス経営に取り組む中小企業が増え、結果として日本経済の活性化が促進される一助となることを願っています」
第9回Amazon Academyのセッションハイライトは以下の通りです。
基調講演「イノベーション視点で多様性を考える」
経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室長 相馬 知子氏は、性別や国籍、身体的・精神的な障害の有無だけでなく、キャリアや経験、働き方などの多様性も踏まえて、あらゆる人々が自身の能力を最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげることを目指す、「ダイバーシティ経営」の推進を同省として支援していると話しました。「ダイバーシティ経営」の推進は、日本の少子高齢化が進む現状において、人材獲得力の強化に繋がるだけでなく、組織内の多様性を高めることで、新しい視点やアイデアが生まれ、それがビジネスの成長やイノベーションの創出に寄与するとの見解を述べました。また、多様性を活かすには、インクルージョン(包括性)やエクイティ(公平性)の観点が不可欠であり、中長期視点で経営者の取り組みを着実に行うとともに、人事管理制度の整備や現場管理者の意識改革に合わせて取り組むことが重要であり、同省としても推進を後押ししていくと強調しました。
基調講演「中小企業にこそ必要なパーパス経営」
一橋大学大学院 経営管理研究科 客員教授の名和 高司氏は、中小企業におけるパーパス経営(企業の存在意義に基軸を置いた経営理念)の必要性や具体的な実践方法、またビジネスの成長において人材や経験、視野の多様性が果たす役割について話しました。名和氏は、各企業が経営にあたり独自のパーパス(志)をもつことの重要性を強調し、パーパスとは単なるスローガンではなく、企業が成長し続けるために必要な「北極星」となる存在であり、方向性を示す指針であると語りました。多様性とイノベーションの関係性にも触れ、異なるバックグラウンドや視点を持つ人々が同じ方向に向かうことで斬新なアイデアが集まり、それらを包括することで無限の創造性が生まれると説明しました。
パネルディスカッション
Amazon Academyの後半では、MCを務めるフリーアナウンサーの中井 美穂氏と、強い目的意識を持ってビジネスを拡大している中小企業3社の代表者によるパネルディスカッションが行われました。経営理念にパーパスを反映することでイノベーションを創出している企業として、株式会社創通メディカル 代表取締役社長 薛 明鶴氏、株式会社西山酒造場 取締役女将 西山 桃子氏、株式会社ヘラルボニー 代表取締役社長 松田 崇弥氏をお招きしました。
パネルディスカッションの前半では、パーパスに基づく企業文化を育む意義と、事業を成長させる中で目指す姿について語っていただきました。知的障害のある方のアート作品をアパレル商品に展開する自社ブランドの運営をはじめ、アートデータを軸に多様な事業を展開するヘラルボニーの松田氏は、「自閉症と重度の知的障害がある兄への偏見に対する悔しさから、ブランド品に福祉とアートを融合し、かっこいい!美しい!と思って買っていただけるビジネスを始めることで、知的障害に対するイメージを変えていきたいと思っています」と話しました。1849年創業の伝統ある西山酒造場で子育てをしながら女将を務める西山氏は、「丹波の酒蔵に外から入った当時、良いものがあることに気づいておらず、また発信もできていないことがもったいないと感じましたし、今も感じています」と話し、酒蔵や日本酒、丹波地方の魅力を発信していきたいと述べました。また、中国・山東省出身の創通メディカルの薛氏は幼少期に急激なスピードで技術の進歩や経済発展を経験したことから、「私は常に時間には限りがあることを感じ、貴重な資産だと思っています。以来、前進するためには多少のリスクも厭わないという考えを持って生きてきました。その考えは私の経営理念にも強く影響しています。ある意味で、日本人の経営者にはない差し迫った感覚と、育った環境や経験からくる危機感のようなものが、ビジネスの原動力にもなっているのだと思います」と話しました。
多様性を尊重するビジネスが産業や社会にもたらす変化について、ヘラルボニーの松田氏は、この数年の間に社会全体でもDEI(多様性・公平性・包括性)の取り組みを押し進める空気感が生まれているように感じると話し、障害のある人のアートが、社会貢献や福祉活動ではなく、ビジネスを成長させるひとつの資源になると見解を述べました。西山酒造場の西山氏は、酒造業界の変革は緩やかで男性社会で物事を変えていくことは決してスムーズではなかったと述べ、10年の時間を経て手応えを感じていると語りました。また「女性活躍ということでお話をいただくことも多いのですが、私自身の名前が上がらない日が来ると良いと思っています。『全員活躍』が大事です」と強調しました。
イノベーションの創出におけるEコマースの役割と可能性について、創通メディカルの薛氏は、Eコマースはこれからさらに進化するとの考えを述べました。日本と中国を行き来するようになり、ビジネスへのアプローチに違いを感じる中、Eコマースを通じてブランドの10年先の発展を考え、日本の医療専門家の知識と中国の技術を生かしたモノづくりで世界の役に立ちたいと語りました。また、ヘラルボニーの松田氏は日本全国や世界中の顧客を視野に入れたビジネス展開を目指す企業とEコマースの相性は非常に良いと話し、Eコマースの役割には「お客様の気持ちをコンバージョンする場」のみならず、「現場での盛り上がりを可視化する箱」という意味もあり、作家の皆様のライブペインティングやポップアップストアの様子を伝えることができるとの見解を述べました。最後に、西山酒造場の西山氏は「いつもAmazonで商品を購入してくださっていたお客様が、蔵元を訪れたいと実際に足を運んでくださることが多い」と述べ、自分たちの力だけでは知り合えなかったお客様とEコマースを通じて出会い、リアルでもつながることができていると話しました。
第9回Amazon Academyの全編はこちら(https://www.youtube.com/watch?v=vw-M-ybSFYQ)からご覧いただけます。